ママを楽しむ

子どもの『英語を使えるようになりたい』気持ちを育てるために

2017.08.30(wed)

「英語は目的ではなく手段」というのは、私たち大人が学生の頃にもよく言われていたこと。そうはいっても、子どもの頃は「英語を話せるようになりたい」「話せたらかっこいい」という漠然とした気持ちから、英語への興味をスタートさせる場合が多いように思います。

そのうちに「英語を使って○○をしたい」「○○を極めるためには英語を使えた方がいい」と気づくと、学ぶ意味や姿勢が違ってきます。そういうものに早く出会えたら上達も早いですよね。英語が学校の「教科」として苦手になってしまう前に、そうなってくれたらというのが親心だと思います。

まだ英語が「勉強」や「教科」になるまえに、子供のうちに英語を「使う」体験させたい。日頃からそう思っていた時に、縁あって、海外から日本の大学に留学している学生に、放課後息子の相手をしてもらえるという機会を得ました。

英語を「学ぶ」ではなく「使う」

息子は小三で、全く英語が話せません。教材を使って英語を教えてもらうことも考えたのですが、どうせならば「学ぶ」ではなく「使う」経験を、という思いから、これもまた日頃からやらせてみたいと思っていた楽器、ウクレレを「英語で」教えてもらうことにしました。幸運にも、ギターやウクレレが得意なカナダ出身の交換留学生が来てくれることになりました。彼女は日本語がほとんど話せません。日本語が話せない先生と英語が話せない生徒が、週に1日、90分一緒に過ごすことになったのです。

5月から始まって、交換留学が終わる8月に帰国するため3ヶ月という期間で、どこまでウクレレと英語が上達するのか、そして英語に対する考えがどう変わるのか。ちょっとした実験の始まりです。

話せなくても通じればいい

初回のレッスン。先生は、海外で有名なウクレレソングのコードを、一生懸命手書きで書きながら弾いて見せてくれます。息子は先生の手元をじっと見て、真似をします。ゆっくりの英語でも説明してくれていますが、全く分からないので、完全に一方通行。彼の方も質問はいっさいせず、もくもくと練習して最初の回が終わりました。

2回ほどやってみてわかったのは、どうやら言葉だけではなく、曲を知らないので、うまく弾けているという達成感が感じられていないということ。そこで、3回目からは、息子の大好きなトイストーリーの「きみはともだち」をコードで弾いて歌ってみることにしました。

「コードで弾く」場合はメロディを歌って合わせるのですが、実は彼は歌が苦手。知っている曲でも、歌いながらさらに弾くというのは一苦労です。しばらく試行錯誤した後、今度は「メロディを弾く」ソロウクレレの楽譜を入手して練習をすることにしました。最初のレッスンから1ヶ月ほど経った時のことです。

知っている曲のメロディを弾いてみると、急に息子の反応が変わりました。断然、弾けている実感をもてるようになったのです。特に楽譜が「TAB譜」という弦を押さえる位置が一目でわかるもので、子どもにもすぐにコツがつかめました。

持ち方、弦の押さえ方、弾き方を習いながら、メロディは楽譜を見ながら音を出していきます。正しい音を出すことに集中すると、バチンバチンと一方方向に力一杯弾いてしまうので、「up and down, up and down」と優しく上下に弾いてきれいな音で響かせる方法を習います。英語を話さなくてもお互い何をしたいのか、意図は通じあっているのがわかりました。

Today is a big day!

その日のレッスンは大きな進歩を遂げ、先生も「today is a big day!」という言葉で、成果があったことをとても喜んでくれました。英語の会話はありませんが、ハイタッチをしたりして二人の距離も縮まった様子でした。

その日の帰り、玄関の外まで送ったときに「お母さん、月がきれいってなんていうの?早く教えて」というので「It’s a beautiful moon!かな?」と教えると、歩いている先生の背中に向かって「It’s a beautiful moon!」と大きな声で話しかけました。私は驚き、先生も振り返って驚きながら一緒に笑って、もう一度バイバイをした後、「お母さん、ぼく英語しゃべれるようになりたい」と言いました。

4回のレッスンの間、息子は一度も英語は発していませんでしたが、ウクレレが少し弾けるようになったことで、きっと、自分に新しいことを教えてくれる大好きな先生と、なにかコミュニケーションをとりたい、という気持ちが芽生えたのでしょう。それが、なぜか、たまたま満月を見たときにあふれたのかもしれません。それこそが英語を学ぶ理由なんだよ、というようなことを彼と話しました。

オリジナルソングを披露するサプライズ

最後のレッスンは、全8曲をひとりで弾く発表会を開催。7曲は楽譜の曲でしたが、最後の一曲はオリジナルソングで、先生が教えてくれたコードをつなげて上手に曲のようにしていました。まさに、先生が教えてくれた美しい音を響かせる弾き方の実践です。

結局最後まで息子は英語を話しませんでした。友達の誕生日を聞いて覚えるのが趣味な彼は、「When is your birthday?」という質問をやっと一回して、答えてもらったのが唯一の英語での会話。先生の誕生日を聞けて満面の笑みでした。

3ヶ月のレッスンで得たものは

一つは、ウクレレの腕は見違えるほどに上がりました。そしてもう一つ、「月がきれい」「誕生日はいつ?」のように自分が言いたいこと・聞きたいことを伝えるには「もっと英語が使えるようになりたい」という思いが、きっと彼の中に残ったのではないかと思います。英語が「勉強」になる前に、英語を「使って」何かをしたいと思える機会をたくさん与えて、子ども達の可能性を広げていけるといいですね。

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この記事は「ケノコト」にも掲載しています。
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