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発達障害ってなぁに?シリーズ その1『誰だって発達障害!?』

2018.02.23(fri)

「うちの子、発達障害かなぁ」「学校で発達障害かもって言われてしまった…」「クラスのあの子も発達障害じゃないの?」など、最近様々な場面でささやかれる「発達障害」という言葉。芸能人のカミングアウトやメディアの影響で、良くも悪くも認知度はあがっています。だからこそ、必要ない偏見や心配が生まれないように、きちんと理解したいものです。
今回はシリーズ「発達障害ってなぁに?」の1回目、「誰だって発達障害!?」。学校生活にクローズアップして考えてみましょう。

誰だって発達障害!?

 『発達障害』とは、生まれつきの脳機能のアンバランスさが、その人の置かれた環境や周囲の人と良くない反応を起こし、社会生活に困難が生まれる障害とされています。
さて、”生まれつきの脳機能のアンバランス”をそれぞれの特性と考えれば、誰でも多かれ少なかれ脳に特性はあり、その特性が原因で「私ってこうだから、上手くいかないのよねぇ。」という場面に出くわします。私について言えば「情報量が多いと全く頭に入ってこなくなる!」という脳のアンバランスがあり、一気に説明されたり、分厚い説明書を前にするとすぐに「ま、いっか。」が発動されて、自分勝手に判断して事を進めてしまう傾向があります。みなさんにも、何かしら思い当たることがありませんか?つまり、誰だって発達障害だと考えられないでしょうか?!

注目すべきは「困り感」!

 「誰もが発達障害!?」だとしたら、まず本当に考えなくてはいけないのは、発達障害であるか否かということよりも、その子がどれくらい困っているかなのです。またはその子の周囲の人たちがどれくらい困っているのか、そしてその困り感の原因は何なのかということです。

「学校が合わない」は通用しない

 「ぼくは接客業に向いてないんだ」「自分はネクタイをしめる会社は窮屈で嫌だ!」「時間がきっちり決まっている職場が働きやすい」など、多くの人がある程度は自分の特性にあった職場を選ぶものです。それでも失敗したり、人間関係に苦しんだり、いいことばかりではありません。
では、子どもたちは学校を選べるでしょうか。多くは「NO!」です。一斉指導に合わせた机の配置、時間割通りの生活、面白くなくても授業は聞かないといけないですし、宿題だってある。どうしようもなく退屈だから席を立ってみたら怒られるし、答えがわかったから嬉しくて叫んだら注意される。できれば一人でいたいけれど、安心できるのはトイレだけ…。よく考えれば、様々な特性を持った子どもたち全てが、「学校」という一つの環境にマッチするということはあり得ないのです。でも子どもは「ぼく(わたし)、学校は合わないから辞めたいな」とは言えないですし、言えてもなかなか通用するものではありません。

心を傷つけないで!!

私たちが理解しなくてはいけないのは、どうしても「学校と合わない」子がいるということです。多くの子どもたちは「合わない」と感じても、我慢できる程度であったり、上手くやりすごしたりするのですが、中には脳機能のアンバランスが大きかったり、もしくは学校とは決定的に合わない脳の特性を持っている子どももいます。そしてその子たちは、逃げも隠れもできません。それを理解せずに、みんなと違うことを叱責したり、同じことを強制させたりすると「自分はダメなんだ…」という気持ちが大きくなり、そのことが更によくない状況を招くことになります。

まずできることは「思いを馳せること」

まずは私たちができることは、怒ったり、注意したりする前に「あれ?なんでそうするのかな?」「なんで困っているのかな?」と、その子の言動や困り感に思いを馳せることです。「発達障害」を考えることは、すなわち人を本当に理解する旅にでることだと私は思っています。シリーズ「発達障害ってなぁに?」で具体的な事例などご紹介しながら、みなさんの旅をガイドできたらと思います。

文/臨床発達心理士 三浦 静
記事/ママトコタイム

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この記事は「ケノコト」に掲載しています。
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