ママを楽しむ

子どもと楽しむ和文化『テーブル茶道』

2018.04.02(mon)

茶道は、今から約450年前に千利休によって深められ、孫の宗旦に至って完成されました。それから現代まで受け継がれ、国内外で親しまれています。茶道というと、長時間正座をしなくてはならないので足がしびれそう、作法が難しそう…と懸念する方も多いと思います。日々、子育てや仕事で忙しくしているからこそ、茶道を通じて親子でホッとするひとときを大切にしてはいかがでしょうか。習い事や塾通いで忙しいお子さんにとっても、心を落ち着けるリラックスタイムになることと思います。
茶道は、まさに心が安らぐ時間であり、ウェルビーイングに繋がる側面もあります。今回は、日常に取り入れやすい親子で楽しむ「テーブル茶道」のコツについてご紹介します。

お椀を活用してみましょう!

抹茶を美味しくいただくには、抹茶椀がよいというのはよく知られていますが、大人が扱う抹茶椀を小さな子どもが扱うとなると、器に対して手の大きさが合わず支えられないなど、難しい点があります。日々の暮らしのなかに和文化を取り入れようとするときには、”常識にとらわれすぎない“ということも大切なことです。特別な器を扱うよりも、お子さんの年齢に合わせ、お子さんが扱いやすい器で抹茶を楽しむというのはいかがでしょうか。
手前の赤いお椀は、子どもがお食い初めのときに使用したものです。おばあちゃん子で和菓子が大好きだったので、幼稚園の頃はおやつの時間に抹茶椀として使用していました。成長と共に大人が使う正式な抹茶椀が扱えるようになりました。お椀を丁寧に扱う作法は、たとえ子どもであっても年齢に関係なく同じです。幼いうちに身につけた美しい所作は、何ものにも代えがたい一生の宝となります。
グローバル化が進み、これから子どもたちは文化の異なる人と関わる機会が増えることと思います。そのようなときに、自分が日々の暮らしのなかで経験している和文化を躊躇なく語ることができたら、とても素晴らしいですよね。自国の文化を大切にする気持ちは世界共通であり、これからの時代を生きる子どもたちには必要不可欠な要素のひとつです。

親子で一緒にお茶をたててみましょう!

親子で楽しむ「テーブル茶道」は、堅苦しく考える必要はないと思います。お椀に抹茶とお湯を入れて茶筅で立ててみましょう。小さなお子様には親が手を添えて、一緒にゆっくりと立てる動作をすると良いと思います。お茶席で出てくるようには立ちませんが、集中して抹茶を立てるという動作にこそ意味があります。時間にしたら1分もかからないことと思いますが、集中して何かをするという動作を楽しみながら身につけていくことができます。
また、お茶をたてる動作は、気持ちを落ち着ける効果があります。お子さんが小さいうちは、効果を感じられない場合もあるかと思いますが、小学校高学年になる頃には違いがでてきます。現代は何かとストレスを受けやすい時代だからこそ、自分で心の平穏を保つ力が必要になっています。テーブル茶道は、簡単にできるストレスマネージメント法としても役立ちますね。

懐紙を取り入れてみましょう!

懐紙は本来、懐に入れて持ち歩く二つ折りの和紙ですが、用途はさまざまです。飲み終えた茶碗の飲み口を指で拭った後に手を拭いたり、食べきれないお菓子を包んだりして持ち帰ることもできます。出されたお菓子を取り分けるときに器として使用するときは、懐紙は吉事と凶事によって折り方が異なります。赤色で示したものが吉事、白で示したものが凶事での折り方です。

また、楊枝を使用するお菓子には、懐紙の端を折り上げて差し込めるようにし、こぼれやすいものは、両側に折り山をつくります。

神様に供える供物は、そのものが清浄であることを表現するために、白い紙や常盤木にのせられています。お出しするお菓子を懐紙にのせることは、それと同様の心遣いとも言えます。このような細やかな心遣いは、まさに日本独自の「もてなす文化」であり、素晴らしいものです。懐紙は100円ショップでも手軽に購入できますし、お子さんを連れた外出時の食事場面でも重宝すると思います。

今回は、自宅で簡単に楽しめる「テーブル茶道」のコツについてご紹介しました。ぜひ、お子さんと一緒に和に触れる機会を楽しんでくださいね。

記事/食空間コーディネーター 齋藤みずほ
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この記事は「ケノコト」に掲載しています。
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