ママを楽しむ

発達・育児相談室から『それぞれみんながんばりすぎている』

2018.07.31(tue)

私は町の小児科の「発達・育児相談室」の心理士です。私のもとに来る人たちのほとんどは、「わはは!」とおおらかに、温かく子どもと親御さんたちを包み込む院長先生に「三浦先生に話を聞いてもらったら?」とすすめられてくる子どもやお母さんたちです。
これからシリーズで「発達・育児相談室」とはどういう所なのか、どんな悩みが寄せられるのか、そしてどんなことで多くの人が困っているのかなどについて、みなさんにご紹介していきたいと思います。

それぞれみんながんばりすぎている!

私が相談室にいて一番思うことは「うぅ…そんなに頑張っていたら辛いよね」ということ。私の所に来る多くの人が、それぞれの立場で、それぞれのやり方で自分の居場所をさがし、そこで適応しようとがんばっています。学校、職場、家庭、ママ友コミュニティなど… アンテナをビシバシ立てて、自分の在り方をその場所に合わせようとがんばるあまり、心は酷く疲れてしまっているように思います。
特に「育児」という大仕事の最中のママたちは、子どもを介していろいろなコミュニティを持つこともあり、本当にへとへと。しかも、ほとんどのママがあんまり褒められない…。「ママ、よく頑張っているね!」と肩を叩くと、多くのママがホロホロと涙を流してしまうのです。

A君のママのおはなし

年中の男の子を持つママのお話です。A君のママはA君が幼稚園に入ってから、他の子との違いが目につき始め、とっても悩んでいました。誰にも相談できず、なんとかA君をみんなについていかせようと必死になっていました。A君のパパは「お前が甘やかせるからだ」と責めるばかり…。そんな時に予防注射で小児科に来て、相談室の存在を知りました。そして不思議なことが次々と起こったのです。
「うちの子、まだおむつが取れないんです…」と泣きながら言うママとよーく話をして、ママは笑顔で相談室を出ると、なんとその3日後にA君のおむつが取れたのです。その2か月後「先生、うちの子、言葉が本当に出なくて…」と心配そうに言うママとよーく話をして、またママは笑顔で相談室を出ると、なんとその2週間後の相談で「先生!びっくりするほど話し出したんです!」とのこと。その後も、同じようなことがちらほら。一体どういうことなのでしょうか?

「話す」「見直す」「自信をもつ!」

A君の変化は、確実にママの変化に呼応するように起きています。
私に心配事を話して今ある状況を見つめなおし、少しアドバイスをもらう。そして、こうやって子どもを心配し、前へ進もうと努力しようとしているママはもう十分素敵なママで、がんばりすぎなくていい!更に何より、子どもの発達はそれぞれで、A君はゆっくり、でも確実に発達しているよね…と伝えると、相談の最後には笑顔になり、A君のもとに帰っていく。そのことがA君に良い影響を与えるのでしょう。  
誰かに心配事を話せること、そして状況を見直し、ママ自身が自信をもって笑顔で日々を過ごすことがどれだけ大切かということを、この事例は教えてくれます。
まさに「発達は環境と共にあり!」です。子どもを発達に導くのは、一番は習い事でもトレーニングでもなく、子どもを取り囲む人々の笑顔と心の余裕なのかもしれません。

コメント欄あけます!

「そうは言っても、相談室なんて近くにないし…」。その通りです。そこで、コメント欄をオープンにしてみることにしました。全てのご感想や質問にお答えすることは難しいですが、多くの人が共感できそうな内容をピックアップしてお答えしていきます。
お仕事の休憩の合間に、子どもの習い事の送り迎えの間に、子どもが寝静まった自分だけの時間に…ちらっと読んだこの記事が、みなさんの心をフッと軽くできたらと願っています。
※コメントは「ケノコト」に掲載している同記事のコメント欄にお願いします。

文/臨床発達心理士 三浦 静
記事/ママトコタイム

ーーーーー
この記事は「ケノコト」に掲載しています。
◼︎ケノコト〜「日常と食のコト」でくらしを楽しくするライフスタイルマガジン〜