ママを楽しむ

発達・育児相談室から『ママの心のざわざわの原因は?』

2021.04.23(fri)

新年度も始まり、あっという間の1か月。
ママたち本当に「お疲れさま!」です。いつもの家事に加えて、子どもたちのランチの心配、スケジュール・宿題の把握、子どもにそれをやらせるのも、まぁ大変。
やっても終わりの見えない「ママ」という職業。頑張っているつもりなのに家は片付かないし、うまくこなせない。なんだかいつも心がザワザワして落ち着かない…。実はそんな思いを抱えているのは、あなただけではありません!多くのママがそうなのです。

子どもの相談の陰に

私が担当しているのは小児科の相談室ですから、皆初めは子どもの相談にいらっしゃるのですが、「子どもが落ち着かない」「言うことを聞かない」という相談を紐解いていくと、子どもの不安定さの原因にママの心のザワザワが大きく関係していることが多々あります。頭が整理されない日々の繰り返しで、どうしても子どもをコントロールしようと強権発動してしまうために、子どもがそれに反発し、そしてまたザワザワの種が増える…という負の連鎖が起こるようです。相談室で話をしながら、ママのザワザワを整理して日々がうまく回りだすと、自然と子どもが安定してくるということは稀なことではありません。
では、ザワザワを整理するとはどういうことなのでしょうか。まずはザワザワする理由を考えていきましょう。

ママ業は究極のマルチタスクを強いられることを自覚して!

「マルチタスク」とは複数の作業を同時にこなすことを言います。素晴らしいことのように思えますが、近年では、「仕事」においては効率が悪く、その上無理して続けると脳を破壊する!という研究結果があるほどです。しかし「ママ業」は、その「マルチタスク」を知らず知らずにやらされ、しかもできて当たり前のように思われています。

例えば洗濯機を回している間、多くのママが「この隙間時間に何ができるか!?」と考えを巡らせているに違いありません。料理をしながら子どもの相手をし、掃除をしながら今月の支払いについて考える。つまり、会社で言えば、人事も営業も経理もすべて任され処理しているようなもの。そして、その多くの仕事に明確な期限が設定されていないときています。明日やらないと上司に怒られるのなら、重い腰もあがるでしょうが、「ママ業」は自分で自分を奮い立たせるより他ないのです。ここまで書いて私が苦しくなってきました(笑)。
それくらい大変なことをしているのです。「家事」「ママ業」は上手くいかなくて当然なのです。まずはその自覚をする必要があります。いつも心がザワザワしているという人は、もしかして脳が悲鳴をあげているのかもしれません。

「マルチタスク」を断ち切れ!~清々しくあきらめよう~

そうは言っても放り出せないのが「ママ業」。疲れて子どもと寝てしまえば、またザワザワな日が始まります。そういう時はちょっと立ち止まってみてください。家族のためにも自分で自分の脳を守らなくては!そう決心がついたらやることは、「清々しくあきらめる」ことです。「今日できることは全部しよう」ではなく、「今日絶対にしなくてはいけないことだけをする」と思考を切り替えることです。前の晩でも、その日の朝でも5分間だけ、「TO DOリスト」と向き合ってみてください。リストに書かれるのは多くて5個。それ以外は清々しくあきらめます。リストに全部チェックが付いた時には、必ずフッと心に隙間が生まれます。そうやって脳を休ませてあげましょう。

あとは、「助けを求める能力」を身につけること。「ママ業」は日々の連続ですから、よっぽどの意思がない限り、その日々を変えることは大変なことです。そんなときには、誰かの手を借りましょう。業者にお掃除をたのんで、一度リフレッシュするのもいいでしょう。「もう脳がね、限界なの!」と家族に助けを求めて、カフェで生活を見直すのもいいかもしれません。問題が複雑化していたら、心理の専門家に整理してもらうのも効果的です。とにかく、一人で悩まないで!

もしかしたら??

だんだんと「大人の発達障害」が社会で認知されてきましたが、圧倒的に「マルチタスク」が苦手な脳機能の方がいらっしゃいます。その方たちからしたら、日々の家事・育児は地獄そのものです。でも、みんなやっているし、私は怠け者なのかな?なんて思いながら過している方が多くいます。家事・育児はみんなできるものではありませんし、あなたが怠け者だなんてことも一切ありません。診断を受けてお薬を飲めば過ごしやすくなることもありますし、カウンセリングで特性にあった方法が見つかるかもしれません。自分を責める前に、ぜひ病院の扉を開いてみてくださいね。

Go easy on yourself.

SNSでこんな言葉が流れてきました。
「Go easy on yourself. Whatever you do today, let it be enough.」
いろんな訳し方があると思いますが、私は「いいの、いいの。それでじゅうぶん。」と訳しました。
どうかたくさんのママに、この言葉が届きますように。

文/臨床発達心理士 三浦 静
記事/ママトコタイム

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この記事は「ケノコト」に掲載しています。
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