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季節の行事を楽しむ『お月見』

2021.09.01(wed)

秋と言えば、月が美しく見える季節。親子でお月見をしながら団子を食べる習慣はあるけれど、お子さんに「お母さん、お月見って何?」「お父さん、十五夜って何?」と聞かれ、うまく説明できず戸惑うことはありませんか。
今回は、「親子で季節の行事を楽しむ」をテーマとし、中秋の名月に込められた先人の思いや、「十五夜」と「十三夜」の違いなど、意外と知らない『お月見』についてご紹介します。

お月見とは

日本には、古来より月を愛でる習慣がありました。十五夜を楽しむようになったのは、平安時代になってからと言われており、貴族が月を愛でながら酒を酌み交わし、詩読みの宴が行われていたのだとか。当時の貴族たちは、実際に空を見上げて月を眺めるのではなく、水面や盃の酒に映った月を愛でていたようです。

平安貴族は、十五夜の前後の月を、八月十四日は明日の名月を待つ宵の意として「待宵(まちよい)」、八月十六日は満月よりも遅くためらうように出てくるので十六夜(いざよい)などと名付け、「月見香」と呼ばれる組香なども楽しんでいたそうです。その後、豊作を祈る行事として定着し、庶民の間に広がっていったのは、江戸時代に入ってからだと言われています。月は欠けても必ず満ちることから、不老不死の象徴になりました。

「十五夜」と「十三夜」の違い

旧暦の八月十五日(今年は九月二十四日)は、「十五夜」と呼ばれています。なぜ「十五夜」と呼ばれているのかと言いますと、新月から丸い月になるまでが15日ほどかかるため、月の満ち欠けにちなみ、「十五夜」と呼ばれるようになったそうです。満月が美しく、秋の季節の真ん中であることから「中秋の名月」、当時は里芋などの収穫を祝う日とされていましたので「名月」とも呼ばれています。

旧暦の九月十三日(今年は十月二十一日)は「十三夜」と呼ばれ、季節の収穫物である枝豆や栗が供えられるため「豆名月」「栗名月」とも呼ばれています。「十五夜」も「十三夜」も、月の満ち欠けによる影響を受け、毎年、日にちが変わります。「十五夜」と「十三夜」のふたつの月を見るのが本来の「月見」であり、どちらか一方だけしか見ないのは「形見月(かたみつき)」といい、不吉なこととされています。お子さんとお月見をきっかけに、月の満ち欠けや、この時期の月につけられているさまざまな名称について調べてみてもよいですね。

お月見のお供え物①ススキ

お月見にススキをお供えするのは、なぜかご存知ですか。ススキをお供えするのは重要な意味があります。

神様の依り代は稲穂ですが、十五夜の時期はまだ稲穂が実る前です。そこで、稲穂に似ている季節の植物としてススキを代わりにお供えしました。つまりススキは神様をお迎えするための需要なアイテムであり、ススキは切り口が鋭いことから魔よけになると考えられていたそうです。
お子さんと一緒にススキを飾るときに「ススキは神様に来てもらうために飾るのよ」「魔除けにもなるのよ」など、なぜそれを飾るのかということも親から子へと伝えていけたら、季節の行事に込められた先人の思いも引き継いでいけるのではないでしょうか。

お月見のお供え物②お団子

お月見に団子はつきものですが、お供えする団子の大きさについて考えたことはありますか。十五夜は、十五にちなみ一寸五分の大きさの団子を15個お供えするとされています。そのほかに芋類や秋の収穫物、秋の七草などをお供えします。お供え物の置き方は、唐の時代の左上位の文化に従って、月から見て左側に自然が育んだ季節の収穫物、右側に手作りした団子を配置します。

お子さんと一緒にお月見の団子を作りながら、「一寸五分ってどのくらいの大きさかしらね」「15個の団子はどうやって重ねるといいのかしら」などと会話することは子どもの知的好奇心を育むきっかけにもなります。秋の七草は「はぎ、ききょう、おばな、なでしこ、おみなえし、くず、ふじばかま」ですが、子どもにはあまり馴染みのない草花なので、一緒に植物図鑑で調べたり、実際に探してみたりすることもおすすめです。子どもの頃に経験したことは、大人になってからも良き思い出となって、心に残ることでしょう。

今回は、『お月見』についてご紹介しました。
季節の行事を通して、親子で語り合う機会をぜひ楽しんでください。

文/食空間コーディネーター 齋藤みずほ
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この記事は「ケノコト」に掲載しています。
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