ママを楽しむ

思いを文にしたためる『文字文化を伝えていこう』

2018.10.18(thu)

インターネットやSNSの普及に伴い、子どもを取り巻く環境が大きく変化しています。絵文字やスタンプ、箇条書きなどの簡単なやり取りが増え、思いを文章で伝える機会が減っているため、思考力・文章力が育たないと言われています。社会人教育の場面においても、手紙を書いたことがない、切手を貼ったことがない世代が増えています。

手紙での文章が書けるようになると、思考力が養われ、論理的に話が展開できるようになります。自分の思いを上手に話すことができるようになると、多様な文化的背景を持った人や自分とは価値観が異なる相手とでも、よりよい人間関係を築くことができるようになります。今回は、手紙を書く楽しさを通じて、子どもの豊かな心を育む秘訣や美しい大和言葉に触れるコトについてご紹介します。

まずはメッセージカードや絵葉書にトライ!

子どもに手紙を書かせてみたいと思って、いきなり便箋と封筒を渡すと、お子さんは戸惑うことと思います。何事もスモールステップで取り組むことが大切です。
まずは便箋や封筒ではなく、小さなメッセージカードや絵葉書からスタートするのがおすすめです。それは、カードや葉書は、書くスペースが小さいから。目安としては30~50字位が書けるスペースです。50字の文章が書けるようになったら、100字、150字とスペースを大きくしていくと長い文章を書けるようになっていきます。今は100円ショップでも、かわいい葉書がたくさん出回っていますので、お子さんと一緒にカードや葉書を選ぶことから始めましょう。もしお子さんが最初から便箋と封筒を選んだとしても安心してください。子どもは無意識で自分にとって適切なサイズを選びますので心配しなくても大丈夫です。

思いを文にしたためる

手紙には、思いを文字にして伝えるという目的があります。書き始める前に、誰にどんな思いを伝えたいのか、お子さんと話してみましょう。基本となる文章構成は、挨拶、安否の挨拶、主文、結びの挨拶です。
例えば、祖母から栗が届いたお礼の手紙を書くとして、

「おばあちゃんへ
こんにちは。お元気ですか。
おばあちゃんが送ってくれた栗で、お母さんが栗ご飯を作ってくれました。
とても美味しかったです。ありがとうございます。
いつまでも元気でいてください。 たろう」

というような構成になります。お子さんの年齢に応じて、頭語や結語、季節の挨拶などを教えていきますが、一番大切なことは、自分がどんな気持ちなのかを考えさせるということです。そして、本人が書きたい”思い”を書くことです。親がしびれをきらして「ありがとうって書きなさい」とか「うれしかったと書いたら」など口を出していると、自分で考えることができない子どもになっていきます。これでは豊かな心を育むことはできません。

たった一言を書くのにかなり時間がかかったとしても、自分の「思いを文にしたためる」というプロセスを大切に見守ってください。このような経験が、成長とともにやがて学習面にも表れます。これからの時代に求められる国語力は、まさに親の関わりによって左右されていきます。

正しい鉛筆の持ち方を覚えれば、「とめ」「はね」「はらい」が美しくなる!

最初に正しい持ち方を覚えてしまえば、腕や肩が疲れることなく字が書け、鉛筆の可動域が広がるので、「とめ」「はね」「はらい」がきれいに書けるようになります。
人差し指は上から指腹で鉛筆に押し当て隙間ができないように指を鉛筆に沿わせます。中指の爪の根元の左側で鉛筆を支えます。親指は力を入れずに鉛筆の上に添えます。指の長さはお子さんによって異なりますが、親指を添える位置は人差し指より少し上です。
ぜひ手紙を書くときに、お子さんの鉛筆の持ち方を確認してあげましょう。正しく鉛筆をつかえると、長い文章を書いても疲れにくくなります。

人の心を潤す『大和言葉』

日本語には、日本古来の『大和言葉』と呼ばれる美しい言葉があります。長い年月を経ても受け継がれているのは、大和言葉が醸し出す優雅さや優しさが、人の心を落ち着かせ、穏やかにさせていくからでしょう。大和言葉には『人の心を潤す力』があります。

日常の会話はもちろんのこと、手紙の文章に大和言葉をつけくわえるだけで、会話がうるおい「和のこころ」が伝わります。手紙の結びとして重宝される「ご自愛ください」という表現は、相手に対するいたわりの気持ちを表す言葉です。目上の方への手紙だけではなく、気心の知れた友人への手紙でも使えます。私が子どもの頃は、親戚に出す手紙にこの言葉を添えるだけで、少し大人に近づいたようで嬉しい気持ちになった記憶があります。
例えば、グットタイミングは「時を得る」、グレーゾーンは「玉虫色」というように、日常でよく使う表現を、大和言葉ではどう表現されるのか、お子さんと一緒に調べてみても楽しいのではないでしょうか。

今回は、手紙を書く楽しさを通じて、子どもの豊かな心を育む秘訣や、美しい大和言葉に触れるコトをご紹介しました。未来を生きる子どもたちが、少しでも手紙文化に興味をもち、体験できる機会があれば嬉しく思います。

文/ビジネスコーチ 齋藤みずほ
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この記事は「ケノコト」に掲載しています。
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