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発達障害ってなぁに?シリーズ その2『困った行動をこんな風にみてみよう!』

2018.03.22(thu)

「発達障害ってなぁに?」の1回目では、「誰もが発達障害と言えるかもしれない」「その子の困り感に思いを馳せることが大切」、そして「発達障害を理解することは、人を本当に理解する旅にでること!」とお伝えしました。
では2回目は、学校でよくある困った行動を具体例に、一緒に旅に出てみましょう。私が接した子どもたちが、どのように考え、どのように困り、その結果どのように困った行動に至ったのか思いを馳せてみます。

学校で先生たちが困るのは「授業中の離席とおしゃべり」

今回は子どもたちの「授業中の席の立ち歩きとおしゃべり」を例にとって考えてみたいと思います。それは先生たちからの相談の中で一番多い困りごとだからです。
でも、先生も困っているけど、子どもだって困っています。その理由に思いを馳せ理解したとき、「へぇ~!」と思わず唸ってしまうこともあります。実はこの「へぇ~!」に出会えたときが、私の心が一番震えるときです。では、私の心震えたときのいくつかをご紹介しましょう。

「え?そうなの!?」私の言葉にびっくりのA君 

担任の先生から「授業中に勝手に後ろに行って、自由なことをしてしまう」ということで、私のところにきた低学年のA君。なんとも礼儀正しく受け答えもしっかりしていて、先生の話が間違いなのでは?と思うほど。とりあえず「ねぇ、なんで授業中に後ろに行って好きなことするの?」と聞いたら、「おりがみしたいからです」とのこと。ほぉ、なるほど。「でも授業中だから、座って先生のお話きいたりしないとねぇ」と言うとピンとこない顔。そこで「先生がお勉強教えているときに、みんなが好きなこと始めちゃったらどうなっちゃう?」と聞いたら、「学級崩壊ですね…」の一言!A君、ここで初めていろんなことが見えてきたのです。「授業中は先生の話を聞いて勉強する」それは全ての子どもたちにとって当たり前のことではないのです。自分がしていることが周りにどう影響しているか、説明されないとわからないこともあります。このA君、この日以降一切立ち歩かなくなりました。先生もいろんな場面で丁寧に説明することを心がけているようです。

勉強がつまらないB君

お母さんが「寝耳に水なんです!」と言う低学年B君の話。それまで何の問題もなかったのに、急に学校で「発達障害なのでは?」と言われたとのこと。先生に話を聞くと「授業中全く集中していない、授業中のおしゃべりがひどい、答えをすぐに言ってしまう、やることが遅い」と出るわ出るわ。早速、B君に来てもらって色々調べてみるとIQがとても高い。でも、単純な課題には全然乗ってこないのです。少しひねってあったり、難易度が高かったりすると急に前のめり!自分の興味のあることは見えるし、聞けるけど、興味がないとわかると一転、何も見えない(見ない)、聞こえない(聞かない)のです。これでは、学校の授業に集中するのは難しいはずです。ほぉ、なるほどです。最後に「ねぇ、B君。学校の勉強、もしかしてつまらない?」と聞くと、「なんで知ってるの!?」と目を輝かせるのでした。

先生に話をすると、棚のすぐ横の席に移動し、そこに彼の興味をもちそうな算数の問題プリントを置いてくれました。つまらなくて友達とおしゃべりしそうになると、自分で取り出してやっているようです。
「やることが遅い」というのは、きっと彼の「興味があること以外、見えない・聞けない」という特性から来るもの。それも周囲がわかれば、きつく叱責することもなく、「あぁ、今は仕方ないのね。」というスタンスで先生は接しているようです。

子どもの数だけ理由がある

ここではたった2つしかご紹介できませんでしたが、困った行動には必ず理由があります。座っているとお尻が猛烈にかゆくなる…って子もいたなぁ。低学年で怒られすぎて、もう先生に対する信頼がなくなり本当に学級を壊したいという理由もあります。そしてその理由は私たちの「ふつう」に収まらない、想像の範囲ではないことが多いのです。周囲の大人がどれだけ想像力たくましく、子どもの困り感に向き合えるのかがとても大切なことです。
次回はもう少し身近に、家庭での困った行動に思いを馳せてみましょう。

文/臨床発達心理士 三浦 静
記事/ママトコタイム

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この記事は「ケノコト」に掲載しています。
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